10月のある日、アウトドア師匠に誘われて、山ブドウを採りに行ってきた。
師匠は、木登りが得意で、高い所からバッサバッサと房を落としてくれるので、おかげさまで、摘み取りというより、収拾作業で、終始、らくちん、らくちん。
熊に遭遇することもなく、ハンターの流れ弾にあたることもなく、無事に、45リットルのゴミ袋いっぱいに収穫してきたゾー。
まずは、指先を赤紫色に染めながら、丁寧に除梗作業からスタート。
次に、選果→圧搾。
低速ジューサー法、手絞り法に分けて、今年は、一部のブドウを干して水分を飛ばし”パッシート”にも初挑戦してみた。
糖度が低いので補糖は必須、しかも、ステンレスタンクのかわりに、ステンレスボトルに投入。
最後に、魔法使いのサリーの”おまじない”をして、自然のなりゆき任せで熟成を試みた。
無農薬天然栽培・手摘み・手選果・手絞り・自然酵母の自然発酵・無濾過・無清澄・・・と、まるで自然派ワインの生産者になったような気分で、出来を期待する。
”初物”なので、搾りたてを笑いながら飲んでみた。
耳の下がキュンと痛くなるくらい強烈にな酸っぱさに泣き笑いになってしまった。
口の中は、酒石酸とリンゴ酸の嵐だ。
マロラティック発酵を期待して、数日後、ステンレスの魔法瓶を開けてみたら・・・
プシューーーーーと、勢いよく、”香ばしいガス”が飛び出した。
化学実験成功。
ザルで濾してみたら、見た目は、赤ワイン風になった。
透明感はないけど、色調は強く、ポリフェノールたっぷりな印象だ。
香りは、野性的な山ぶどうの味。
タンニンの存在がよくわからないが、酸は、ビリビリに健在。
アフターテイストは、すっきり・さわやか・すっぱイタくて、快感!
今年のノムリエ菜園:ビニールハウス部では、4本のブドウの木のうち、1本がコジけてしまって、あとは、かすかな収穫だけ。
熟したケルナーが何房か採れたので、絞って、ステンレスボトルでシュル・リー←してみた。
しばらくして、開けてみると、プシューっと、かすかなガスの響き・・・ワクワク ドキドキ
香りは、まるで、ビオディナミで造った風なかんじだが、アルコール分はほとんど感じられない。
冗談でマスカットベリーAを、数粒混入してしまったためか、色は美しいブラッシュになっていた。
見た目は稀有だけど、味はあまずっぱくて、まるで、デザートワイン飲んでるような錯覚に陥る。
極東産100%のブドウでできたオリジナルワイン?←(ジュース)に、かんぱーい!
胃酸を抑える胃薬は必須だ。
その後、札幌の友人宅に遊びに行ったとき、邸宅の庭にブドウがタワワになっていて、食べ放題なくらいにごちそうになった。
しかも、ベッドサイドにまで提供。
甘くておいしかったので、品種は、たぶん、ナイヤガラ?
このブドウでワインを造ってるのかなと思ったら、これは食用で、食事のときには、ちゃんとしたワインが出てきた。
シャンパーニュで乾杯した後、おブルゴーニュ。
ヴォルネィ ”レ・グラン・ポワソ” 2003 by ドメーヌ・ルイ・ボワイヨ (輸入 ラ・ベルテール)
高評価の2002年のあとの2003年は、高気温のため酸が少ないとかでマイナーイメージだけど、本当のところどうなんだろ?
薄っぺらいピノよりは、このくらい果実味やタンニンが感じられるピノは、個人的に好みかな。
品性ある男前なピノって感じで。
ひさしぶりに大ヒットのおいしい出会いだった。
おいしいパンやチーズ、摘みたて野菜やブドウが普通に食卓に上る家庭って憧れるなぁ。
まるで、おフランスにいるかと見間違えるような趣のあるダイニングで、シャンパーニュとブルゴーニュをいただき、メインに神戸牛のステーキまでいただいて・・・
神的なお告げまでいただき、脳内、フラメンコ状態で酔いしれた。
ウメちゃん&マユ ごちそうさまでした。
ノムリエのヌーヴォーは、ボージョレィに先駆けて、11月上旬に解禁予定。
酸っぱいものが大好きな人、胃壁が頑丈な人、挑戦、いや、”試飲”しに来ませんか?
え?!
家庭で、葡萄を酒にしちゃいけないって?
発酵なんて、みんなしてるのに?
日本って、ほんとに、ご都合主義な国だなと思う。
酒を取り締まるなら、癌の悪因のタバコにもっと税金を課すべきなのに。
20歳からずーっと目に見えない”酒税”や”関税”というものを、いっぱい払ってきたノムリエ、そろそろ表彰されてもいいんじゃないの?
あぁ、バッカス様、
息がゼイゼイしてきました。